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2010年8月24日 (火)

住まいの解剖図鑑

本物大好きさんのブログで知り、読みました。
1,800円です。
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家造りを考えている方、まさに設計中の方、私のように住み始めている方
どの方にとっても、設計の「あたりまえ・ふつう」に潜む理由を説明している本書は、
興味深いページがいくつかあるでしょう。
また、設計の学問からの観点で整理された事柄に、なるほど!と思うことがあります。

本書の目的は、
建築系の学生を教えていて、必ず犯す設計上の初歩的過ちを注意する事から始まり、
欲が出て、実務を始めた若い設計士へも、
もっと欲が出て、建て主にもヒントになるようにと書かれたそうです。

「はじめに」で、これから自宅を建てようと考えているあなたへ として
 ・積極的に、設計に参加する必要がある。
 ・問題の原因と結果の予測は設計士と共有すべき。
 ・時間とお金と空間の制限から、何をCUTし、なにをGETするか判断・決断の場面で、
  判断基準のヒントになるような知恵を提供する
とあります。

もう建ててしまった、私が読んで、
  そうそう!これが大事だったよね!
  そうかな?
と言う点を、本の感想として書きます。
★印は、わが家の経験からのコメントです。

■和室 46ページ
和室ぐらい無いと。と考える前に、
和室に何を求めているか、要望の整理を促しています。
 ★建て主さんは、是非、整理すべきだと思いました。
  ・畳に寝っ転がりたい?
  ・客間が必要?
  ・赤ちゃん(パパも)の昼寝?
  ・床の間が欲しい?
  ・畳に布団を敷いて寝たい?

リビング→和室←(廊下)玄関 のダブルアクセスも紹介されています。

■ダイニング 52ページ
ダイニングテーブルは見かけよりずっと大きい。です。
★建て主さんは、平面図にその縮尺(1/100や1/50)に合わせて、
 持ち込むor買いそろえるダイニングテーブルと椅子の形を紙で切って
 置く場所を変えながら、間取りの確認が必要です。
 ※椅子と、椅子の後ろを通るスペースが意外に大きいのです。

■キッチン 56ページ
実は、小学校の家庭課で習っていた、
コンロ・まな板・シンクと、冷蔵庫の位置関係の話題があります。
★建て主さんは、冷蔵庫の位置に配慮が必要です。
 料理する人だけでなく、子どもやビールを飲むお父さんにも使いやすい位置を
 1度は考えた方がよいからです。

■ベッドルーム 68ページ
私は、畳に布団の生活ですが、
夜中にベッドにダイビングしなければならないような置き方はしないよう注意があります。

■トイレ、浴室、洗面室と水廻り 80ページ
これらは、スペースを取ります。
★建て主さんの共通の間取りの悩みと思いますが、
 1階は、これらの水回りとキッチンですぐに埋まってしまいます。
  なにをCUTしGETするかヒントがあります。

■庇 114ページ
小さくても意外と働きます。
★建て主さんは、窓の上のちいさい庇(霧除け)を、
 積極的の取り入れると良いと、私は思いました。
 普通の雨なら窓に雨が当たりにくくなり、掃除も楽です。
 (西日は避けられませんが)

■開口部 122ページ
学問的?に、開口部に4つの目的があることを示し、
窓なら、通行以外の3つの目的の組み合わせで、
FIX・高窓・板戸などの具体的な開口部を分類して見せてくれます。
整理されると、なるほどと思います。

■断熱・通気 128ページ
複雑な断熱事情ときこそ、基本に立ち返るということで、
基本的な事柄(熱の移動、空気を閉じこめて断熱など)の説明があります。
★最近の断熱・気密に詳しい建て主さんには、ちょっと物足りないだろうと思いました。

■風通し 134ページ
当たり前ですが、風は通したいです。
★建て主さんは、できるなら、その敷地に家を建てたたとき
 隣家との関係も考えて、季節・時間でどの方角からの風が通るか
 知っている方がよいと思いました。
 本書では、そこまで書いていません。
わが家は、南北より、東西方向の風向きが多いことに、
住んでから気づきました。
※24時間の機械換気を、”スキマ風を人工的に起こすようなものです”と書いています。
 実際住んでみると、”空気の入れ換えをコントロールして行うこと”ぐらいに書いて欲しいかなと思いました。
 お宅によっては、外がうるさかったり、臭気があったり、粉塵があったり、
 窓を開けた風通しをしたくない場合があります。
 (わが家は化学工場からの臭いが夏の南風に乗ってきて気になります)
 そんなときには、24時間の機械換気を最大限に活用します。
 
■駐車スペース 158ページ
クルマは見かけよりずっと大きい。
★建て主さんは、クルマと、庭や部屋の広さのどちらを優先するか悩むと思います。
 ドアを開けて乗り降りできること、出し入れのしやすさ。
 わが家は、クルマがありません。でも実家から車で来ること、将来のことを考え、
 庭をちょっとあきらめて、当初より広めの駐車スペースをとりました。
 クルマメーカーのホームページを見て、車体の大きさに唖然としたことを思い出しました。

■共有と専有(プライバシー) 174ページ
PUBLIC SemiPUBLIC PRIVATE のゾーンに分けると、
廊下は、PUBLICの玄関と、PRIVATEの個室を直結する機能・性質であること。
いわゆる”リビング階段”は廊下で個室を直結させず、SemiPUBLICのリビングが間にあることに、あらためて、認識させられました。
どちらが良いか?でなく、建て主さんがどちらにするか!だそうです。
★でもリビング階段になるように間取りを考えるのが、とても難しく、
  (階段が建物の壁づたいの中央付近に来て、そのほかのスペースが小間切れになってしまうのです)
  わが家は設計士さんに相談せず、よく考えたらリビング階段の必要もないなと思い、自分で断念したのです。

■基準線と壁厚 194ページ
狭い空間部分ほど、壁が厚く感じます。
壁厚が影響を受けている実例として、畳の大きさが1枚1枚違うことに、なるほどと思いました。
だから、畳屋さんが実測してから作るのか!
★建て主さんは、階段の横幅が思ったより狭くなることを確認した方がよいです。
 (手すり分も取られるし)

ちょっと紹介しすぎかもしれません。でもまだまだ話題があります。

★この本に無く、建て主さんが注意した方がよい点として、
 掃除のしやすさ、あるいはメンテナンスフリーについても、考えておくのがよいと思いました。
 例えば、2階のベランダではないところのFIX窓は外からの掃除が大変です。
 この点、横田建設さんではドレー・キップ(内開き・内倒し)窓を薦められるので、
 2階・小屋裏の窓掃除が楽です。
 でも、わが家では、2階のベランダの無い窓に、雨戸代わりのシャッターをつけたのですが、
 拭き掃除ができないことに、住んでから気づきました。

最後までありがとうございます。

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100 読んだ甲斐があった本」カテゴリの記事

コメント

「読んだ甲斐があった本」に入れていただき、ありがとうございます。
どの方角から風が通るかを知ることは大事ですね。
実際に住んでみないとわからないことを書いていただいた
この記事は貴重だと思います。これから建てる人にとって
役に立つことを心から期待しています。

投稿: 本物大好き | 2010年9月 6日 (月) 21時15分

本物大好きさん こんにちは。
私も他の方の家造りブログが大いに役立ったので、その恩返しの気持ちもあり、ブログを続けています。
ものの本には、気象庁のホームページから家を建てる地域の風向きを確認すること!と書かれていますが、
傾向は把握できるでしょうが、実際には、風向きは、四方の建物に影響されるので、事前に知るのは難しいかもしれません。
四方に窓を設ける安全策がよいのでしょうね。
最近の家はデザイン優先と結露防止なのか、北側の窓が極端に小さいか、はめ殺しの窓しかない家も見かけました。
はめ殺し窓は、壁だと思うぐらいに よほど慎重に使わないと、
今までの一般住居にあまりない形式なので、難しいですね。

投稿: たかお | 2010年9月 6日 (月) 23時07分

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