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2010年8月28日 (土)

固定資産税(家屋)の評価基準

家を建ててしばらくすると、
家屋の固定資産税算出のために調査員(役所の職員)が来ました。

わが家には、草加市から二人の職員がやってきて、
固定資産税の算出概要と、
訪問調査の目的を簡単に説明しました。

その後、1階・2階・小屋裏を見て回わり、
床暖房の有無の質問と、システムキッチンと洗面台の間口を測り
20分ほどで訪問は終わりました。
そのときの私には、税額算出の根拠を質問するほどの余裕はありませんでした。

いろいろな方の家造りのブログでしばしば書かれているように、
うちはこんなことを聞かれたとか、塗り壁だと税金が高くなる?とか、
本当のところが分からない話でした。

■今日の結論
・「税額算出根拠を、知りたくなったら、役所の担当に聞く。」
・その前に、「別表第8」を見ておく。
 「別表第8」は、
 Googleで、”固定資産評価基準の一部を改正する告示案 パブリックコメント
         を検索すると、

 「固定資産評価基準の一部を改正する告示案に係る意見募集」
  案件番号145207294として、
  ・関連資料
   「固定資産評価基準の一部を改正する告示案(家屋)改正案(1)」PDFがあります。
   専用住宅は(1)です。

   この「別表第8」に、評価対象と評点数、補正項目があります。

・例えば、最初は屋根の評価があります。

 1008280012


    腰折れ1.5 > 切妻1.0 > 片流れ0.8 の補正係数です。

   また、勾配がきつかったり、軒の出が大きいほど、補正係数が大きいです。
   評点が高くなるのは、再建築費用が高いはずだということでしょうか。


  ・何の別表で、なぜ第8なのか?
   地方税法第三百八十八条第一項の規定に基づく
   「固定資産評価基準」の別表で、
     第1章 土地
     第2章 家屋
     第3章 償却資産
   とあり、表の順番から、「木造家屋再建築費評点基準表」が、8番めになっています。




そんなこんなで、
■2010年5月10日に固定資産税(家屋)の納税通知書が届きました。

1006270010

調査で算出した「課税標準額」に、税率を掛け、
固定資産税額・都市計画税額が決まったので、支払って下さいとのことです。

(写真で、口座振替用とあるのは、既に支払っている土地の固定資産税を
 口座引落の手続きにしているためです)

新築の場合、初めの3年間、家屋の固定資産税を1/2にする減額措置があるとはいえ、
土地と家屋の固定資産税は、年10万円を超えていました。

大金を払ってくれという割には、算出根拠の説明が無いので、納得しがたいです。


そこで、日本ブログ村で、どなたか算出根拠となる資料などわかる方がいないか調べました。
すると、「ガンにも負けず高気密・高断熱の家づくり日記」のkokkoさんが、
総務省のパブリックコメントから、「固定資産評価基準」を探し出していました。
それが、今日の結論に書いた、「別表第8」です。


 ・なぜ、システムキッチンや洗面台の間口を測っていたのか?
  「別表第8」では、

  システムキッチンは標準評点が303,590点です。
  補正として、間口寸法が、240cmは標準の1.0(補正無し)
                 これを超え300cmまでを最大1.2倍、
                 240cm未満は180cmまでを下限に0.8倍までです。
          施工程度も3段階で1.5倍、1.0倍、0.5倍とあります。

  洗面化粧台(標準評点59,840)も、間口と施工程度で決まります。


■評価方法をもっと詳しく知りたい
 と思い、kokkoさんのブログにあった
 財団法人地方財務協会 の[出版図書]のページから、

   平成 21基準年度 固定資産評価基準解説(家屋篇)
   <固定資産税務研究会編>

 を買ってしまいました。
  1008280009_2
 

■うちは、「別表第8」に従い、どのように評価されたのだろう?

  役所に、
  「『別表第8』の表の評価項目で、どのように評価されたか教えて欲しい」
  と電話し、後日役所に行き聞きました。
  
  役所の担当に、先日電話の件で教えて欲しいと用事を告げると、
  担当者は、奥の上司と話をし、しばらくして、
  パソコンからプリントした資料↓を基に、丁寧に説明してくれました。
  1006270012

  資料は、家屋の固定資産税を計算するソフトウェアからプリントしたようでした。

  担当の方は、「別表第8は、何処で見られたのですか」と、
  こんな質問をしてくる建て主は、珍しいかのようでした。
  パブリックコメントでしょうか?と聞かれたので、そうです。と答えました。

  担当の方は、「昔は項目ごとに細かく評価していましたが、量や評価の限界があり
  今は、この資料のように算出しています。
  と言ってました。
  手には、上の写真の「平成 21基準年度 固定資産評価基準解説(家屋篇)」
  がありました。



■評価は実際と合っていたか
 間違っている所がありますが、評価の低い方に間違っていました。

 上の写真のようにプリントをもらえましたので、いくつか見てみます。

<内装>
 1008280010_2

 ・別表第8で決められた評価点は、クロス張り < 塗り壁 です。
  だからといって、塗り壁をあきらめる建て主はいないと思います。

  わが家は、クロス6割、塗り壁3割と、意外に塗り壁の割合が高かったです。


 ・ 無垢も合板も「フローリング」でひとくくりです。
   「固定資産評価基準解説(家屋篇)」211ページの床仕上で、
   ”板張りは主として合板や縁甲板が使われるが、これらは全て
   「フローリング」で評点付設する。”とあります。
   木魂の前田さんには不本意かもしれませんが、固定資産上は、
   ”上”でなく”並”の評価でした。


<水回り・換気設備>
 1008280011


 ・洗面化粧台、システムキッチンの間口は、合っていました。

 ・洗面器 が在ったか?
   「固定資産評価基準解説(家屋篇)」239ページには、
  ”洗顔、手洗いに使用する衛生陶器”とあります。
  そうだ!1階トイレの手洗い設備(タンク上の手洗いではない)が在った。と納得です。

 ・換気設備
  これが、現物と異なる評価でした。わざと低めの評価をしているような気さえします。
  依頼先の横田建設さんには不本意かもしれませんが、
  建て主としては税額が小さい方ので、良しとします。

    機能      → 1種なのに3種と評価された
    施工の程度 → 程度が悪い と評価された。

  「固定資産評価基準解説(家屋篇)」249ページから、
  ”換気設備とは、天井裏に設置された全熱交換ユニットによって吸気口、
   排気口を通じて、戸外から給排気し、ダクトを通じて各居室に戸外の
   新鮮な空気を送り、同時に居室内の汚れた空気を排気する機能を持つものである。”
  ”換気設備の標準評点数は、給排気ともに機械的に行う、いわゆる1種換気
   のものを標準的な2階建の住宅に設置した場合を想定”

  以上のように、各評価点を合計し(=再建築費用)
  これに経年係数(うちは0.8でした)などが掛けられ、評価額が決まっていました。


■気づき
 「固定資産評価基準解説(家屋篇)」や「別表第8」を見て

 ・壁付けエアコンは固定資産ではないが、天井や壁に埋め込む形式の冷暖房設備は
  固定資産税対象で評価される。

 ・床暖房は固定資産税対象で評価されるが、暖吉くん(蓄熱式暖房機)は、
  記載がないので、固定資産対象外と思われる。

 ・ドアホン そのものは、経費扱いの電化製品で、固定資産と思えないが、
  家屋と一体の設備と見て固定資産なのでしょうか。

 ・開口部の評価が見あたらない。
  窓や、シャッターの項目がない。
  内装のクロス張りより再建築費用がかかりそうですが。

 ・ホームエレベーターの評点が高い。
  再建築費用が高いからか?二人乗り1台で1,651,000点。

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110 お金の話」カテゴリの記事

コメント

始めまして、現在ビルトインガレージの家を建てようとしているかのんと言います宜しければ教えて頂きたいのですが。

「固定資産税(家屋)の評価基準」の中で
内壁 仕上ナシ 4.02
天井 仕上ナシ 5.67
と有りますが「仕上ナシ」とはクロスや塗り壁になっていない石膏ボードのままとかなのでしょうか?

投稿: かのん | 2012年6月 2日 (土) 19時03分

かのんさん はじめまして。
・石膏ボードのままだと?
 薄い黄色やピンクの石膏ボードのままだとどのように評価されるかは役所に問い合わせた方が良いと思います。
 「固定資産評価基準解説(家屋編)」平成21年度版を見ると、「合板・ボード張」の普通板の分類に、”押入の中などに多く用いられる素材の表面に何の仕上げもしていないボード類全般とラワン合板等”とあり、石膏ボードがボード類全般ならば、”仕上げナシ”ではなく、「合板・ボード張」の普通板の分類になりそうです。石膏ボードの表面に木目が施してあり和風天井に見えるものは「和風天井の並」だそうです。
 うちの”仕上げナシ”の評価は次のように想像しています。

・わが家で、内壁と天井に”仕上げなし”と評価された部分
市役所に問い合わせていませんが、たぶん次の部分です。
1)内壁の仕上げなし
 押入の桐板を仕上げナシと見られた。羽目板でも合板でもないので。
 でも桐板は、「固定資産評価基準解説(家屋編)」平成21年度版をみると、「板張」(合板以外の板張り全般及び突き板合板)の評価が正しいと思われます。
2)天井の仕上げなし
 1)と同様の押入の桐板と、階段下の物置の天井部分と思われます。階段ユニットの合板むきだしなので。

投稿: たかお | 2012年6月 3日 (日) 23時37分

通りすがりですが、仕上げなしはUBの部分ですよ。
お風呂の床、壁、天井はすべて UB そのものの評点に含まれています。
よって仕上げのない所にUBをはめ込んでいるイメージだそうです。

投稿: こっこ | 2012年12月20日 (木) 22時49分

こっこさん コメントありがとうございます。
仕上げ無しの部分は、ユニットバスだったのですね。
建築現場を見ていたときのことを思い出しました。
床下地と窓を付けた後、部材が大きいためか、
四方むき出しの部分に、直ぐにユニットバスを施工していたと思います。

投稿: たかお | 2012年12月22日 (土) 03時08分

新築でも中古でも家屋の固定資産税の基準は同じでしょうか?
どちらが得なのでしょうか

投稿: | 2014年12月 7日 (日) 11時42分

12月7日にコメントいただいてから、時間がたってしまいました。
新築・中古で評価基準に差があるかどうかは、わからないです。
中古住宅は新築時の評価に基づくのだろうけど、増改築した場合など、自治体に聞かれたほうがよいと思います。

投稿: たかお | 2014年12月22日 (月) 23時32分

課税根拠の説明が無いだと?
あほか、全て告示しているんだから、自分で勉強するのが常識だ。
この糞クレーマーが(笑)

投稿: アホたれ | 2016年3月20日 (日) 00時38分

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